『私たちの幸せな時間』(2)2007年08月29日 07時37分

 にわかには信じがたい数字ですが、この映画のパンフレットによると、昨年9月に公開されたこの映画は韓国で300万人の観客を動員したそうです。日本の人口は韓国の約2.7倍ですから、日本で言えば800万人の動員という凄い数字です。
 ソン・へソン監督がこの映画の原作の小説を読んだのは2005年の4月、日本に向かう空港でだそうです。『力道山』の興行的失敗の後、どうして観客に理解されないのかという怒りを抱えていた時期だそうです。この時期は佐々部監督と共に出演した『映画人は海峡を渡った』(2005.6.23 NHK BS-hiにて放映)の話が進んでいた時期だと思いますから、そのための取材に向かっていた時かもしれません。
 佐々部監督のサイトの「過去のトピック」
  http://www.sasabe.net/new_back.html
を見に行くと、佐々部監督とソン・ヘソン監督が並んで写っている写真があります。この番組が放映されたのは、ちょうど佐々部監督の『四日間の奇蹟』が公開されていた時期です。『私たちの幸せな時間』と『四日間の奇蹟』に見られるいくつかの共通点は、ひょっとしてこの二人の監督の出会いによりもたらされたものかもしれません。
 いくつかの共通点とは、『私たちの幸せな時間』で「奇跡」という言葉が何度か出てくること、音楽にベートーヴェンのピアノソナタ「月光」第一楽章とショパンの「別れの曲」が使われていること、そして十字架が常に背後にある点などです。『四日間の奇蹟』の十字架は装飾品的な役割で使われたと思いますが、『私たちの幸せな時間』はもっと深い意味を込めて使われたと思います。韓国と日本の宗教的基盤の大きな違いを感じさせられた映画でもありました。

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