山田太一ドラマ面白かった~2007年05月25日 23時13分

 今夜、渡辺謙と玉木宏主演の山田太一ドラマスペシャル「星ひとつの夜」を見ました。あ~面白かった~です。渡辺謙さんが「男たちの旅路」、「シャツの店」の鶴田浩二さんみたいに人生を語っていました。内容の面白さもさることながら、短いセリフの合間合間に聞き手が「はい」、「そう」、「そうですか」、「そうか」、「いえ」、「ああ」、「ええ」、「うん」と細かく合いの手を入れるのも、まさに山田太一独特の世界で楽しめました。
 実は昨年の夏、川口市のスキップシティで「夕凪の街 桜の国」のロケをしていた時に、そこにあるNHKアーカイブスで何時間かを過ごし、そこで「男たちの旅路」と「シャツの店」を見ていたのでした。この2つのドラマの鶴田浩二さんが私は大好きです。今回、渡辺謙さんがこの鶴田浩二さんに重なって見えたことは私にとっては新鮮な驚きであり、とても楽しめました。「明日の記憶」、「硫黄島からの手紙」を経て、また一段と深みを増したのでしょうか。
 蛇足ですが山田太一さんは私とほぼ同じ生活圏に住んでいるらしくて、以前、道を歩いているところを見かけたことがあります。

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_ 文才がなくても描けるドラマ脚本術 - 2007年05月28日 13時03分

そんな誰にでも(?)経験のある「落し物」。
落し物のコートを届けたところから人間関係が始まった『星ひとつの夜』。
脚本界の巨匠・山田太一先生が描く人間模様を、今やハリウッド・スターとなった渡辺謙と、若手注目度NO.1の玉木宏という期待のドラマ!




《あらすじ》
コンサートホールで清掃の仕事をしている野々山廣治(渡辺謙)は、担当エリアのひとつで男物のコートの忘れ物を発見するが、ポケットの中にはむき出しのまま突っ込まれた50万もの大金を見つけ、持ち主の岩崎大樹(玉木宏)を訪ねた。
大樹は「お礼だ」と20万円以上の札束を廣治に差し出してきた。そんなことを全く予想していなかった廣治は「バカにするな」と礼金を拒否し、その場を立ち去った。

翌日、大樹が廣治を訪ねてコンサートホールにやってきた。昨晩の失礼を詫び、廣治に対して「オーラのようなものを感じる」と切り出す大樹。廣治は戸惑いを感じながらも、大樹を振り切った。

数日後、廣治は内藤彰介(井川比佐志)の元を訪れた。廣治は3ケ月前に刑務所から仮出所したばかりで、内藤は廣治の保護司。その過去により廣治は他人との関わりを避け、孤独に生きてきた。廣治が大樹の話をすると、内藤も妻・文子(赤座美代子)も「若い人とはつきあった方がいい」と言うのだった。

そして、廣治はもう一度大樹のマンションを訪ねた。「自分は決して金持ちではない」という大樹だが、招き入れられたその部屋は一人暮らしにしては広すぎる。全く生活感のない部屋で二人はぎこちない会話を交わし始める。
廣治と大樹。二人の間には、相手のことは気にかかるが自分のことは詮索されたくないという空気が漂っていた…。


このドラマは、華やかな演出がある訳でもなく、激しいストーリー展開がある訳でもない。
なのに2時間があっという間に過ぎてしまった。




「不倫の果てに愛人殺害」の容疑で11年を刑務所で過ごした廣治を渡辺謙が押えた演技で「孤独」を、デイ・トレーダーとして90億円もの金を動かしている大樹を玉木宏が素直な演技で「心のおびえ」を表現している。
二人は人との関係が上手く結べず「孤独を抱えている」という共通点がある以外は全くの他人。そんな二人が徐々に心を開いていく様が、とても丁寧に描かれている。


セリフの一つ一つが「心に沁みてくる」感じがした。

このドラマはきっと観た人によって、心に残るセリフや感じるテーマが違うのかもしれない。
感じたことを「感想」という文章にすると、あまりに陳腐になってしまう。


一冊の本が、時を経て読み返すと違った感銘を受ける…そんな感じだろうか。

ドラマは「起承転結」の「結」が描かれていない。それは私たちに「明日」があるように廣治や大樹にも「明日」がある。それはもしかすると彼らにとって残酷な明日かもしれない。上手く言えないけれど、それが「生きている」ということなのだろう…。





このドラマは録画して何度でも観たい。残念なことにそれに思い至った時にはドラマは終わっていた。
レビューを書くことに、とても時間がかかった。
是非再放送して欲しい。その時には忘れず録画しよう。
そして、今までの「山田太一作品」をもう一度観たい気持になった。