何年前からが遠い昔か2006年08月19日 15時48分

 きょうの午前、NHK広島が製作したローカル番組2本を全国放映していたのを、たまたま目にすることができた。
 「平和の鐘よ 鳴り響け~大聖堂建設・ある神父の物語~」
 「きみにヒロシマを伝えたい」
の2本だ。
 今回の広島訪問で大聖堂には8/15の午前に行って、ちょうど行われていたミサに参加し、資料館には8/14と8/15の両日に行ってきたので、どちらの番組も強い関心を持って見た。
 「きみにヒロシマを伝えたい」で紹介された、20代で資料館の案内のボランティアを務める女性は、自身も小学生の時は原爆の悲劇は遠い昔の出来事としか感じられず、ほとんど関心を持っていなかったとのことだった。しかし、高校生の時、祖母から被爆体験を聞きたいと思うようになったそうだ。祖母が原爆で死亡していたら母は生まれず、母がいなければ自分は存在しなかったと思ったことが、きっかけだそうだ。
 ボランティアを続けるうち、遠い昔の出来事だと思っていた原爆の話が少しずつ身近に感じられるようになったとのことだ。20~30年後に被爆体験者がいなくなった後は、自分達の世代が語り継いで行かなければならないという強い使命感を持って祖母の被爆体験を来館者に伝えているこの女性の姿勢に感銘を受けた。

 私自身もこの1年、何度か広島に行くうちに、原爆の悲劇を少しずつ身近に感じられるようになってきた。私にとって1945年は、そんなに昔のことではない。そう思うようになったのは、教会に通うようになってからだ。聖書を読み、日曜日の礼拝で説教を毎週聞き、イエス・キリストや使徒パウロたちが生きた時代を繰り返し頭の中で思い描くようになってから、2000年前のことが、昔のことではなくなった。学生の頃は札幌農学校のクラーク博士などは大昔の人だと感じていたが、130年前のクラーク先生は今の私にとっては身近な人物だ。
 わずか数十年前の出来事が遠い昔のこととして忘れ去られ、戦争の悲劇が繰り返されることがあってはならないと強く思う。

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