甲子園の準優勝投手2006年08月21日 21時14分

 駒大苫小牧の田中君は凄い男だと思った。もちろん、早稲田実業の斎藤君も凄いが、こちらはマスコミが大騒ぎして取り上げているので、今さらここに書くことはない。(というか、「ハンカチ王子」とか言われると引いちゃいます。彼は全然悪くないのに。)

 昨日、今日と甲子園の決勝戦を見た。きょうは仕事をしながらだったが、結構しっかり見てしまった。『出口のない海』の主人公・並木浩二が甲子園の優勝投手なので、甲子園の優勝投手とはいかなる存在か、じっくり見てみたいと思ったのだ。
 最後のバッターが田中君だった。1点差まで詰め寄ったので、ホームランが出れば同点に追いつく。しかし、バットは空を切り、三振で試合終了。その後の田中君の表情が良かった。無念さと、力を出し尽くしたという満足感とが混じった、美しい表情をしていたと思う。スタンドの応援団への御礼の挨拶の時や、表彰式の時は寂しそうな微笑を浮かべながら、終始となりの本間主将を優しくいたわっていた。本間主将は昨日も今日も、無安打に終わってしまった。自分が好機に一本でもヒットを打っていれば優勝できたのに、と責任を感じていたと思う。準優勝の楯を持ちながら涙を必死でこらえる表情が痛々しかった。そんな本間君を田中君は横でずっと気にかけていた。自分が打たれて負けたのだから、お前は気にするな、というところだろうか。
 高校野球の負けチームが泣きじゃくっている姿は良く見るが、駒大苫小牧の選手で大泣きしている選手はいなかったように思う。悔しかったはずだ。ボロ泣きしてもおかしくない。2試合を全力で戦ったという満足感があるのだろうか。それとも、春の選抜大会を卒業生の飲酒により出場辞退したという試練をくぐり抜けて、大人のチームになったのだろうか。心にしみる、とても良い敗者の表情だと思った。

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