『世界の中心で、お風呂に入る』(8)2010年12月18日 22時57分

8.最外殻
 入れ子構造の一番外側は、この福音書の一番初めと最後のペア、つまりプロローグとエピローグのペアであり、章節で言うと、【1:1~5】と【21:25】です。一般的に言われているプロローグとエピローグの章節と異なりますが、最外殻の入れ子としては、この章節が適当ではないかと考えます。

 プロローグでは、世界の外枠が造られます。

「初めに、ことばがあった。ことばは神とともにあった。ことばは神であった。」(1:1)
「この方は、初めに神とともにおられた。」(1:2)
「すべてのものは、この方によって造られた。造られたもので、この方によらずにできたものは一つもない。」(1:3)
「この方にいのちがあった。このいのちは人の光であった。」(1:4)
「光はやみの中に輝いている。やみはこれに打ち勝たなかった。」(1:5)

 この部分は創世記1章で、神が最初の三つのことばで光と天と地とを造ったことに重なります。神は、初めに天と地という世界を造りました。そして、この世界は入れ物であることが、入れ子のペアのエピローグから分かります。

「イエスが行なわれたことは、ほかにもたくさんあるが、もしそれらをいちいち書きしるすなら、世界も、書かれた書物を入れることができまい、と私は思う。」(21:25)

 この世界も書物を入れることができまい、とういうことは、この世界は入れ物であるということです。

 こうして入れ子構造の最外殻で、世界という入れ物が造られ、その中でイエス・キリストは光を放っていました。