母マリヤの証言2009年04月07日 22時34分

 聖書にはイエスの復活に関する母マリヤの証言は書かれていません。
 しかし、ルカの福音書には親でしか知りえない、懐妊時のこと、イエスの誕生時のこと、イエスが12歳の頃のことが記されています。
 ヨハネの福音書19章25,26節には十字架のそばに母マリヤがいて、十字架上のイエスが母に話しかける場面があります。母マリヤは我が子が十字架上で苦しみながら死んでいく様子をすぐ近くから見ていたのです。母マリヤの嘆き悲しみはどれほどのものであったでしょうか。そんなマリヤが、呪われた罪人として死んだイエスの幼少時について、自らすすんで話したりするでしょうか。復活という大きな出来事があったからこそ、後にルカが取材にマリヤのもとを訪れ、証しされたことだと思います。
 イエスが復活したことを知っても母マリヤの苦悩は続いたに違いありません。

「しかし両親には、イエスの話されたことばの意味がわからなかった。」(ルカ2:50)
「イエスの身内の者たちが聞いて、イエスを連れ戻しに出て来た。『気が狂ったのだ』と言う人たちがいたからである。」(マルコ3:21)

 このようにイエスに対して無理解であったことに、「どうして息子のことを分かってあげることができなかったのか」とマリヤは自分を責めたことでしょう。イエス誕生時に羊飼いたちが祝福する中、

「しかしマリヤは、これらのことをすべて心に納めて、思いを巡らしていた。」(ルカ2:19)

と記されている若い母マリヤの姿はまた、この日のことを思い起こす年老いた母マリヤの姿でもあったのだろうと、私は思います。