謙虚 vs 傲慢2007年10月28日 09時06分

 何年か前の、ある学会のシンポジウムでのこと。

 電子顕微鏡で観察された奇妙な現象は従来の理論では説明できない新しい現象であると主張する我々に対して、従来の理論で説明可能とする否定派の偉い先生がこう発言した。

「もしそれが本当に新しい現象だとしたら、それは大変なことですよ。だったら、もっと慎重になるべきではないですか。」

 さすが、偉い先生は言うことが違う。なるほど、これこそが科学に対する謙虚な態度なのかもしれない。新しい、新しい、と騒ぐ我々は軽薄で傲慢なのかもしれない。
 そう、人間社会の尺度を基準にすれば、きっとこれが謙虚な態度なのだろう。しかし、自然の側から見れば、これこそが傲慢な発言と言えるのではないだろうか。人間は自然に比べれば本当に小さな存在だ。自然のことをわかったつもりになっているが、実はそんなにわかっていないのだ。
 自然にはまだまだ分からないことのほうが遥かに多いのだと思って自然を見つめることこそが本当に謙虚な態度なのではないだろうか、

などと思う今日この頃である。

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