『力道山』 ― 2006年03月07日 01時00分

韓国映画の『力道山』(監督:ソン・ヘソン、出演:ソル・キョング、中谷美紀、藤竜也、萩原聖人、他)を渋谷で見た。この映画は、去年の6月にNHKのBShiで放送された番組『映画人は海峡を越えた』の中で紹介されてから、ずっと見たいと思っていた(この番組に共に出演した佐々部清監督とソン・ヘソン監督が一緒に写っている写真を佐々部監督の公式HPの「過去のトピック」http://www.sasabe.net/new_back.htmlで見ることができます)。
期待に違わず良い映画だと思った。人間の強さ・弱さを考えさせられる映画だと思った。凡人は強くなりたくても、なかなか強くなれず、自分の弱さに歯がゆさを感じ、悩み、苦しむものだ。しかし映画の中の力道山は逆にあまりに強過ぎ、そのことで周囲と軋轢を起こしてしまう。周囲に調和して生きていくためにはもっと弱くならなければならないのだが、それができない。朝鮮半島出身という生い立ちからくる意地もあり、負けようと思っても、最後の最後になるとどうしてもパワーが炸裂してしまう。
強すぎる者の境地は、弱い私には分かるはずもない。しかし生きるのが上手くないという点では、強い力道山も弱い我々も同じなのであろう。強すぎるが故に孤独になり、それに耐えられずに酒に溺れる力道山もやはり弱い人間だ。我々は皆、どんなに強がっても弱いものなのだという哀しさをしみじみと感じさせられる、そんな映画だと思った。ソル・ギョングのプロレスの技に感嘆し、『電車男』のエルメスに比べて遥かに美しい中谷美紀にも強く魅かれる映画だった。
コメント
_ 馬関人 ― 2006年03月10日 01時54分
_ S.KOJIMA ― 2006年03月10日 07時06分
馬関人さま
日本人が歓喜する場面もありました。この映画が最高に盛り上がる場面です。記事に書いたのは、その後の東富士(映画では東浪)が出てきてからの場面で、生っ粋の日本人をチャンピオンにしたいという興行主側の思惑に映画の中の力道山は反発していきます。
力道山が空手チョップでアメリカ人レスラーをなぎ倒して観客が歓喜する場面は、こちらも興奮しました。喜怒哀楽の振幅を大きくクッキリと描いているのも、この映画の良いところだと思いました。
全編ほとんど日本語ですので、韓国産のVHSが手に入ればそちらでも楽しめることと思います。
日本人が歓喜する場面もありました。この映画が最高に盛り上がる場面です。記事に書いたのは、その後の東富士(映画では東浪)が出てきてからの場面で、生っ粋の日本人をチャンピオンにしたいという興行主側の思惑に映画の中の力道山は反発していきます。
力道山が空手チョップでアメリカ人レスラーをなぎ倒して観客が歓喜する場面は、こちらも興奮しました。喜怒哀楽の振幅を大きくクッキリと描いているのも、この映画の良いところだと思いました。
全編ほとんど日本語ですので、韓国産のVHSが手に入ればそちらでも楽しめることと思います。
トラックバック
_ soramove - 2006年03月27日 11時19分
この記事は2004年12月23日ソウルで見た時
すぐにブログにソウルから書いたもの。
日本でも公開が始まったので再掲載する。
「力道山」★★★☆
ソル・ギョング、中谷美紀主演
ソン・ヘソン監督、2004年韓国
土曜の深夜、残りひとつの席に滑り込む。
ソル・...
すぐにブログにソウルから書いたもの。
日本でも公開が始まったので再掲載する。
「力道山」★★★☆
ソル・ギョング、中谷美紀主演
ソン・ヘソン監督、2004年韓国
土曜の深夜、残りひとつの席に滑り込む。
ソル・...
やはりアメリカとの戦いに敗れてしょげ返っていた国民が青眼金髪の悪役の外人を空手チョップで次から次となぎ倒して行く様に歓喜している光景は忘れられません。
力道山は彼自身の能力以上に国民が抱いた英雄願望にギャップを感じるところもあったのではないでしょうか?
映画を観た訳ではないので勝手なことを書きますが、そう直感しています。
機会があったら是非、観て見たい映画です。