『はやぶさ』との距離と時間が育んだ愛2012年02月21日 09時57分

 昨日、瀧本監督の『はやぶさ 遥かなる帰還』を観て来ました。

 中身ももちろん良かったですが、エンドロールが印象的でした。左側に実際に開発と運用に当たった人たちの写真が映し出されました。俳優さんたちは、イイ男とイイ女ばかりですが、実際の現場の人たちは普通の人たちで、その人たちの表情がとても良く、味がありました。

 はやぶさに携わった人たちは、本当にはやぶさを愛していたのだなと思いました。それは、はやぶさがイトカワ付近にいる時に通信に要する時間が片道で15分以上という距離が育んだものでもあるのだろうと思いました。片道15分以上ということは、指令を出してから結果が分かるまで、30分以上も待たなければなりません。それは昔、携帯やメールが無く長距離電話も高かった時代に、手紙をやり取りする間の待ち時間に友情や愛情が育まれたのと同じで、はやぶさと技術者たちの間の愛は、この距離と時間によって、より一層育まれたのだと思いました。

 私としては『チルソクの夏』の助監督だった瀧本監督に、このような、距離と時間が育んだ愛を、もっと丁寧に描いて欲しかった気がします。吉岡さんがイオンエンジンの変則運用のプログラムをする姿は、すごく格好良くてシビレました。そのプログラムによる指令も、イトカワほど遠くないにしても、結果が分かるまで時間が掛かるわけです。全損するかしないかの指令の結果がすぐには分からないのは、待つ間にものすごいプレッシャーがあったことと思います。そういうところを、もっと観たかった気がします。

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