『あなたを忘れない』(3)2007年01月30日 01時12分

 韓国嫌いの人たちによるYahoo!映画のこの作品への不愉快なユーザーレビューの余りの多さに腹が立ち、下記投稿をしました。決して5点満点の映画ではないのですが、擁護せずにはいられませんでした。
(以下、投稿文)
 映画の内容自体はいくつか違和感を感じる箇所があり、決して満点ではありませんが、ここのユーザーレビューに、この映画を見てもいないのに投稿している滑稽なレビューを多数導き出した功績により、満点の5点を与えたいと思います。
 外国人に対する差別というものは、程度の差こそあれ、どこの国に行っても存在するものだと思います。私が行ったことがあるいくつかの国でも、理不尽な差別的な言動を受けて憤慨したことがあります。残念なことですが日本も例外ではなく、外国人に対する差別が明らかに日常的に存在するのです。しかし日常的に存在することとは言え、差別を受ける本人にとっては不愉快なことです。ですから李秀賢さんの日本での留学生活における軌跡を描いた本作でも、そのような不愉快な経験を描くことは不可欠なことだったのでしょう。それだけのことです。それだけのことなのに、日本人を悪者にしている映画なのだと大げさに騒ぐのは私の目には何とも滑稽なことに映ります。さらに悲しいことには、日本には外国人に対する差別など存在しないと思い込んでいる人もいるようであり、そのような国際感覚のない人に対しては、言うべき言葉も見つかりません。皮肉なことですが、そのような人たちの存在をあぶり出した本作は秀作と呼べるでしょう。

『チルソクの夏』と『あなたを忘れない』2007年01月30日 07時54分

 このブログにも以前書いたことがあると思うが、私が『チルソクの夏』という映画に強く引き付けられたのは、山本譲二さんが扮するヒロインの父親が朝鮮人を差別するセリフを、あまりにストレートに言い放つことに衝撃を受け、心を乱されたにも関わらず、日韓の高校生たちの純な心により私の心もまた浄化され癒される過程を一つの映画の中で味わうという経験をしたからだ。なぜ山本譲二さんの差別的な言葉に衝撃を受けたからと言えば、私もかつては韓国人を差別視していたことがあるからだ。しかし私は日韓プログラムの担当者になるにあたり、自分の中に巣食っている差別感を何とかする必要を感じ、ちょうど折り良く企画された韓国バードウォッチングツアーに参加し、韓国の素晴らしい自然の中に身を置き、韓国人の人情に触れることにより解消することができた。だから山本譲二さんの場面で古傷がうずいたにもかかわらず、映画の上映時間内という短い時間の中で癒されたのだと思う。
 『あなたを忘れない』の作品ユーザーレビューで、この作品が日本人を悪者にしていると言って騒いでいる人たちは、自分たちが韓国人を差別していることを十分に意識しており、それを後ろ暗く思っているのだなと、段々わかってきた。「上映中止にすべきだ」というヒステリックな書き込みもいくつか見られる。自分たちの心の醜さが曝されることがいたたまれないのであろう。確信犯的な人や自分が差別感を持っていることに気付いていない人たちよりは救いがあるこの人たちは、自らが持つ差別感にふたをするのではなく、根本的に解消することを考えてみてほしいと思う。