『椿山課長…』と『四日間の奇蹟』 ― 2006年11月23日 21時26分

きょうの夕方はTOHOシネマズ川崎で『椿山課長の七日間』を見た。この映画の原作の浅田次郎氏の小説は既に読んでいる。とても引き込まれる小説だった。この小説をどんな風に映画化したのか、興味津々で見に行った。劇場内は満席で、観客の年齢層はかなり高かった。
信仰に照らして言えばいろいろ不満な点はあるが、そこを考えないことにすれば、いい映画だったと思う。原作と違う部分がいろいろあり、それが良い効果をもたらしていたと思う。特に市毛良枝さんの母性愛には泣かされた。最近また『ニライカナイからの手紙』のことが映画ファンの友人の間で話題になっていて、それとは全く違う表現なのだけれど、母親の愛ってこういうものなんだと、またまた思わされる良いシーンだったと思う。
映画化された『椿山課長の七日間』は二時間の枠に納めるために単純化されたことにより、佐々部監督の『四日間の奇蹟』ともオーバーラップする映画になったなとも感じた。原作を読んだ時には全然そんなことは思わなかったのだが、半分死んだ人間が他人の体を借りて数日間だけこの世に戻り、自分が生きてきた人生の意義を見出すということにおいて、大いに共通点があると思った。
小説や映画のフィクションにあっては、ストーリーの面白さは大事であってもそれは一番大事なものではなく、人間を描くということがまず第一番にあって、そのためのストーリー展開なのだということを改めて思わされた。家族や他人を思いやることのやさしさがたっぷりと感じられ、また一つ良い映画が見られて良かったなあ、と思った。
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