『こんばんは』2007年04月17日 12時52分

 金曜の晩に、墨田区の曳舟駅の近くにある飲茶料理 飛輝(フェーフェー)という中華料理屋さんで夜間中学の記録映画『こんばんは』の上映会があったので行ってきた。
 素晴らしい映画だった。冒頭の、墨田区立文花中学校の玄関で『こんばんは~』と挨拶を交わしながら、おばあちゃんやおじいちゃんが登校してくるシーンで早くも私は目頭が熱くなってしまった。独特の温かい雰囲気がある。学びたいという意欲を持って勉強する時、勉強って本当に楽しいことなのだということが、ひしひしと伝わってくる。
 映画に登場する先生の一人である見城先生が、上映前の挨拶で、ここには競争などは一切なく、授業が分からなければ皆が教え合い、助け合っているとおっしゃっていた。本当に皆やさしい。昼間の学校に不登校で通えなくなった男の子が入学して来た時も、みんな温かい目で見守っていた。この映画のHP(http://konbanwa.web.infoseek.co.jp/)のトップページで一番手前に座っているシンちゃんという男の子がその彼だ。昼間の学校で傷ついてしまった彼は家庭以外では言葉を発することが出来なくなってしまっており、この夜間中学に来てからも、ずっとしゃべることが出来ずにいる。そんな彼に周囲の人達は、かまい過ぎる訳でもなく、放って置くでもなく、ごくごく自然に接しており、そんな教室が居心地が良いらしくて、シンちゃんも毎日学校に通ってくる。
 上映後はこの映画のカメラマン、上映普及委員会の方々、この映画の音声ガイドを作成した視覚障害者の方、この夜間学級の卒業生、そしてこの中華料理屋のすぐ近くにあるという当の墨田区立文花中学校から夜間学級の先生たちも集まり、飲み会が始まり、私もちゃっかり同席させていただいた。そもそもこの飲茶料理 飛輝(フェーフェー)自体が、この中学の夜間学級の卒業生夫妻が営んでいる店なのだ。心の温かい人達との交流を心から楽しむことができた。
 『こんばんは』を、是非多くの方に見ていただきたいと思った(HPに上映日程の情報があります)。

コメント

_ poko ― 2007年04月17日 16時25分

とても素敵な映画のようですね。ナレーションは倍賞千恵子さんなんですね。声を想像しただけでも心に染み入る気がします。 ぜひ観たいです。

見城慶和先生出演『知るを楽しむ~人生の歩き方~』(NHK教育) の再放送があるということなので、それは絶対に見ようと思います。楽しみです。

_ S.KOJIMA ― 2007年04月17日 23時00分

pokoさま
 倍賞千恵子さんのナレーションも寅さんのさくらさんみたいで人情味にあふれていました。
 この映画を見るまでは夜間中学が舞台の映画というと私にとっては山田洋次監督の『学校』で、けっこう好きな映画だったんですが、ノンフィクションの『こんばんは』という真実な映画から比べるとやはり「作り物」だったんだなあ、という印象に変わってしまいました。映画は作り物のフィクションを楽しむものだということは知っているつもりですし、山田監督は佐々部監督と同じくらいに好きですから、こういう印象に変わってしまうのは私としても妙な気分なのですが、それくらいに『こんばんは』という映画が放つ力が大きかったのかな、と思います。
 見城先生が出演されるNHK教育テレビの『知るを楽しむ』は私も未見なので、忘れずに見るようにしたいと思っています。
・4月30日(月)~5月3日(木)(全4回)
  毎夜 22時25分~22時50分
・5月7日(月)~5月10日(木)(全4回)
  毎朝5時05分~5時30分

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