『戦場のアリア』2006年05月03日 23時28分

 私が日本映画ではなく、洋画を立て続けに見るのは珍しいことだが、『ホテル・ルワンダ』と同じく戦闘のさ中の人間愛が見られる期待感から恵比寿ガーデンシネマに行って見てきた。
 期待に違わず良い映画だった。見に行って本当によかった。前回の『ホテル・ルワンダ』と今回の『戦場のアリア』の2つの映画を通して信仰をまた少し深めることができた気がする。
 『ホテル・ルワンダ』では、実話であるという凄惨な大量殺戮を見て「こんなにひどいことが起きるこの世界に神は本当にいらっしゃるのか?」と思わず考えてしまった。しかし、その考えは昨年読んだ『それでも神は実在するのか?』(リー・ストロベル著:いのちのことば社)の第1章「悪や苦難がこの世に存在する以上、『愛の神』は存在しえない」に対する反論の中にある、
「苦悩があるから神は存在しない!と言う人々のほとんどは、安全パットに包まれた快適な環境の中でぬくぬくとしながら、神を否定しているのですよ。その一方で、本当に苦しんでいる人々こそ、その苦しみのゆえに神への信仰をさらに強くしているのです」(p.83)
という一節を思い出すことで、この疑問をふり払うことができた。実際に私は映画館のクッションの利いた心地よい椅子の上でこの映画を鑑賞していたからだ。
 さてしかし、この『戦場のアリア』の序盤の激しい戦闘シーンを見て再び同じ疑問が頭をもたげてしまった。しかもこれは第一次世界大戦の、フランス・スコットランド連合軍とドイツ軍との戦いという、キリスト教徒の多い国同士の戦争だ。だがしかし、クリスマス・イブの奇跡により、私の信仰もまた立ち直ることができた。それぞれにクリスマス・イブを祝していた前線の兵士たち同士でクリスマス・キャロルをきっかけに交流が始まったのだ。ついにはスコットランドの従軍司祭により合同礼拝が捧げられることとなった。この場面では、私も同じ兄弟姉妹であることの恵みを感じて感謝であった。英国国教会、カトリック、プロテスタントと教派は違っても、根は同じキリスト教だ。
 前線で戦う兵士は、このように同じ天の父の下にある兄弟なのだ。問題は戦争を指揮する側、また宗教を戦争に利用しようとする側にあり、指揮者に命令される側、宗教指導者に鼓舞される側は本来は憎しみあうべき間柄ではなく、愛し合うべき存在なのだということを強く実感することができた。
 今日この映画に導かれたことに感謝します。
(『戦場のアリア』HP)
http://www.herald.co.jp/official/aria/