隠し剣 鬼の爪@日本点字図書館2007年03月03日 22時54分

 きょうの午後、高田馬場の日本点字図書館に行き、音声ガイド付き『隠し剣 鬼の爪』上映会に参加してきた。音声ガイド作成ボランティアが作成・録音した音声ガイドファイルを、ノートPC上で市販DVDと同期させて上映させることができる画期的なプログラムを日本点字図書館が開発し、それを体験してもらうための上映会が毎月実施されているということを最近知り、出掛けて行ったのだ。私が聞いたことがある映画の音声ガイドはまだまだ少ないので、機会があれば出来るだけ多く聞くようにしたいと思っている。会場には20名近くの視覚障害者(+引率者や関係者で計40名近く)がおり、音声ガイド付き上映会に行くといつも思うことであるが、映画が人を引きつける力の強さは本当に凄いと思う。
 『隠し剣 鬼の爪』は劇場での公開時に品川プリンスシネマで見て以来、今日が2度目であった。品川で見た時には「鬼の爪」という武器に意表を付かれ、私の中では上位に位置する映画となっていた。今回はさらに、『四月物語』の松たか子も気になる存在となっていたため、今日の音声ガイドの勉強を兼ねての上映会参加は数日前からとても楽しみにしていた。
 久し振りでこの映画を見て、本当に面白い、娯楽性に富んだ映画だと思った。主人公の永瀬正敏と松たか子との切っても切れない深いつながりと、剣の修行時代の良きライバルであった小澤征悦との関係が大きな二つの柱となり、さらに吉岡秀隆との友情、小澤の妻・高島礼子への憐れみの情、さらには戦闘法を近代化させようとする訓練の中での藩士たちとの関係など、実に様々な人間関係が描かれており、見る者を飽きさせない。松たか子との場面などでは、途中で何度も涙が出てしまった。
 さてそうすると、どうしても私がお気に入りの『武士の一分』との比較がしてみたくなる。『武士の一分』は涙が出る場面は最後の場面だけであるし、主人公の人間関係の描き方も『隠し剣 鬼の爪』に比べると遥かに少なく、非常にシンプルな作りになっている。しかし、それほどに枝葉を極力切り落として単純な作りしているにも関わらず、見るものを飽きさせず、単純が故に見るものの意識を散漫にさせずに深い世界へと引き込んでいってくれる『武士の一分』、こういう映画を本当に優れた映画と言うのではないか、きょう『隠し剣 鬼の爪』を見て、そんなことを思ったのであった。

コメント

_ ジェージェーサリー ― 2007年03月08日 22時05分

なるほど、イルマーレさんは「武士の一分」をとてもお気に入りとみました。
山田監督のいわゆる時代劇三部作は、さすがに出来が良いと思います。
まず何といっても話がいい!日本人の心のふるさとを見たような、そんな優しさをかんじさせてくれます。
そこに、男の生き様があり、ユーモアがあり、純な恋物語がありと、よい映画になるためのエッセンスがギュッとつまっています。
さすがに山田監督はすごいとおもいました。

私は三作品の中で一番好きなのは「たそがれ清兵衛」です。
一番シンプルに感じました。話が一番自分の好みなのが好きな理由かもしれません。
でも、あの二人のような日本人が多くいたろうと思うし、自分のおかれた立場をよく理解して、その中で、日々懸命に生きている二人に、尊敬の念を抱きました。
そして、胸の中には、ものすごくあつい思いをもっている・・・・・。
自分が恥ずかしくなります。

_ S.KOJIMA ― 2007年03月12日 08時07分

ジェージェーサリーさま
 はい、「武士の一分」はとてもお気に入りです。DVDの予約は迷わず豪華版にしてしまいました(笑)
 田中麗奈さん主演の「暗いところで待ち合わせ」でも思いましたが、失明した人が主人公の映画には独特の深みがあると感じています。

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