振り向いたイエス2012年05月15日 09時12分

 京都の永観堂で「みかえり阿弥陀」を観てから、新約聖書の「長血の女」の箇所(マタイ9:20-22、マルコ5:25-34、ルカ8:43-48)のことが、ずっと心に通っています。イエスは、自分の着物をさわった女の方を振り向き、優しく声を掛けたのでした。

 マタイとマルコを引用します。マタイは概略を記し、マルコは詳細を記しています。

「すると、見よ。十二年の間長血をわずらっている女が、イエスのうしろに来て、その着物のふさにさわった。『お着物にさわることでもできれば、きっと直る』と心のうちで考えていたからである。イエスは、振り向いて彼女を見て言われた。『娘よ。しっかりしなさい。あなたの信仰があなたを直したのです。』すると、女はその時から全く直った。」(マタイ9:20-22)

「ところで、十二年の間長血をわずらっている女がいた。この女は多くの医者からひどいめに会わされて、自分の持ち物をみな使い果たしてしまったが、何のかいもなく、かえって悪くなる一方であった。彼女は、イエスのことを耳にして、群衆の中に紛れ込み、うしろから、イエスの着物にさわった。『お着物にさわることでもできれば、きっと直る』と考えていたからである。すると、すぐに、血の源がかれて、ひどい痛みが直ったことを、からだに感じた。イエスも、すぐに、自分のうちから力が外に出て行ったことに気づいて、群衆の中を振り向いて、『だれがわたしの着物にさわったのですか』と言われた。そこで弟子たちはイエスに言った。『群衆があなたに押し迫っているのをご覧になっていて、それでも『だれがわたしにさわったのか』とおっしゃるのですか。』イエスは、それをした人を知ろうとして、見回しておられた。女は恐れおののき、自分の身に起こった事を知り、イエスの前に出てひれ伏し、イエスに真実を余すところなく打ち明けた。そこで、イエスは彼女にこう言われた。『娘よ。あなたの信仰があなたを直したのです。安心して帰りなさい。病気にかからず、すこやかでいなさい。』」(マルコ5:25-34)

 みかえり阿弥陀が造られたのは今から約千年前、新約聖書が書かれたのはさらにその千年前の約2千年前です。神は永遠の中を生きておられること、朽ちるものと朽ちないものとがあることなど、いろいろなことを考えさせられます。