14.御使いに関する予告と成就2011年01月08日 11時29分

『世界の中心で、お風呂に入る』(14)

14.御使いに関する予告と成就(第五の入れ子)
 第五の入れ子は【1:50~51】と【20:1~18】のペアです。入れ子の構造は、この箇所に関して驚くほど豊かな情報を提供してくれます。隠れて見えなかった部分が見えて来るのです。まず、
 
「天が開けて、神の御使いたちが人の子の上を上り下りするのを、あなたがたはいまに見ます。」(1:51)

が何を表わすのか、注解者たちの間で定まった見解はありませんでしたが、「イエスの復活」のことであることが、入れ子構造から分かります。20:12に御使いが出てくるからです。

「すると、ふたりの御使いが、イエスのからだが置かれていた場所に、ひとりは頭のところに、ひとりは足のところに、白い衣をまとってすわっているのが見えた。」(20:12)

 イエスの遺体が消えて空っぽになった墓に御使いがいたことはマタイ・マルコ・ルカの福音書にも書かれています。そして、興味深いことに、四つの福音書全てが、この御使いを目撃したのは弟子たちではなく、マグダラのマリヤなどの女性たちであったことを記しています。

 御使いを見たのは女たちであったことを1:51に戻してみると、何が見えてくるでしょうか。

「まことに、まことに、あなたがたに告げます。天が開けて、神の御使いたちが人の子の上を上り下りするのを、あなたがたはいまに見ます。」(1:51)

とイエスが言った時、そこには弟子たちだけでなく、既に女たちがいたのだということが分かります。ナタナエルは21:2によればガリラヤのカナの人であり、マルコ15:41によればイエスがガリラヤにおられたとき、いつも女たちがつき従って仕えていたとありますから、イエスはガリラヤでナタナエルに会い、その時からイエスの周囲には女たちがいたことが分かります。

 入れ子構造が、これほどまでに豊かな情報を提供してくれることに、私は感動を覚えずにはいられません。