12.出会いと再会2011年01月04日 16時49分

『世界の中心で、お風呂に入る』(12)

12.出会いと再会(第四の入れ子)
 第四の入れ子は【1:35~49】と【20:19~31】のペアで、前者が「イエスと弟子たちとの出会い」、後者が「復活したイエスと弟子たちとの再会」の場面です。

 このペアのつながりも極めて強固です。なぜなら、この福音書におけるイエスの第一声と第二声の

「あなたがたは何を求めているのですか?」(1:38)
「来なさい。そうすればわかります。」(1:39)

の答えが、20章の次の言葉だからです。

「平安(平和)(があなたがたにあるように。」(20:19,21,26)

 イエスの「あなたがたは何を求めているのですか?」という問い掛けは、私たち読者に対する問い掛けです。復活して今も生きておられるイエス・キリストは、私たちにこのように問い掛けているのです。このように、あたかもイエスが私たち自身に問い掛けているように感じさせてくれるのが、聖霊の働きです。

 連載第5回において聖霊を感じることの重要性について書きましたが、この場面でイエスが今も生きていると感じるなら聖霊を感じており、この場面のイエスが単に書物の中の人物であるとしか感じられないなら、聖霊を感じていないということになります。

 「あなたがたは何を求めているのですか?」(1:38)

という問い掛けは極めて深い問い掛けです。

 私たちは自分が心の奥底で本当は何を求めているのか、実は良く分かっていないのです。お金や名誉など、表面的に求めている事柄なら、すぐに答えることができるでしょう。しかし、イエスのこの問い掛けはそんな表面的なことを聞いているのではありません。即答できなかった弟子たちにイエスは言いました。

「来なさい。そうすればわかります。」(1:39)

 この招きに素直に従ってイエスのもとに行き、イエスにより真の心の平安(平和)が与えられた時、私たちが心の奥底で求めていたのは、真の平和だったのだ、ということが分かるのです。