良き休日2007年02月25日 09時15分

 昨日の土曜日は仕事から全面的に離れて、良い休日が過ごせた。
 午前11時に渋谷のシアター・イメージフォーラムに行き、午後1時からの『カインの末裔』の整理券をもらった。この映画の題名には魅かれるものがあり、また舞台が川崎ということで前から気になっていたのだ。旧約聖書の創世記第4章で弟のアベルを殺してしまうカイン、その末裔の話だったら当然にして罪に汚れた人の話ではあろうが、田口トモロヲさんが演じる教会の牧師が清めてくれるのではないかという甘い期待感を持って見に行った。しかし、これはものの見事にハズレ、田口トモロヲさんはインチキ牧師だった。これにはガッカリだった。それで上映後の舞台挨拶では、俳優さんの挨拶には拍手したが、監督さんの挨拶には拍手できなかった。
 こんな映画に期待感を持ってしまった自分にも少々腹が立ち、非常にモヤモヤした気分で劇場を後にしたので、普段は劇場の梯子はしない主義なのだけれど、口直しにもう1本見たくなり、新宿へ行って『天国は待ってくれる』を見た。こちらは非情に良かった。これ1本だけだと何だか話がキレイ過ぎて物足りない感じがしたかもしれないが、『カインの末裔』の口直しにはもってこいだった。絶妙の組み合わせの2本の映画を見ることができた昨日は本当に良い休日であった。『天国は待ってくれる』を見た後で寄った新宿ゴールデン街の店でもタルミ君やお客さんたちと楽しい話ができて良かった。
 もう一つ良いことがあった。午前11時に『カインの末裔』の整理券をもらってから入場開始時刻までだいぶ時間があったので、近くの青山ブックセンター本店に行き、良い本と巡り合ったのだ。西研・著『実存からの冒険』(ちくま学芸文庫)という本で、第一章でニーチェの思想について分かりやすく解説してくれている。かねがね私は自分の信仰の根源をもう少し客観的に見るべく、「神は死んだ」とするニーチェのことや、その他もろもろの哲学者の思想についてもっと勉強する必要性を感じていたが、敬遠していてその機会を持っていなかった。この本は第一章のニーチェに続き、第二章はハイデガー、そして第三章ではヘーゲルについて書いてある。まだ第一章を読み終えただけだが、読みやすい文体で書いてあって好感が持て、続きを読むのが楽しみだ。
 忙しかったこの1週間のこと、昨日の『カインの末裔』、『天国は待ってくれる』の鑑賞、そしてニーチェについての読書。これら諸々のことを経て今日これから教会の礼拝に行き、魂が清められる恵みにあずかることができる幸せを今感じている。