Faithとキネ旬読者ベスト302007年02月06日 07時51分

 きのう職場でノーベル賞を創設したアルフレッド・ノーベルの曾甥にあたるというマイケル・ノーベル 氏(ノーベル・ファミリー協会理事長、ノーベル平和賞受賞者協会要請会前会長だそうです)の講演があったので、聞いてきた。講演の中で氏はキング牧師、ガンジー、チャーチルを引きながら「Faith」を持つことの重要性を力説していた。通訳なしの英語の講演なので、「Faith」の意味の取り方は人によって違っただろうと思う。
 Faithは辞書には信念・信仰とある。氏は両方の意味で使っていたと思う。宗教の話にも少し及んだからだ。しかし多くの聴衆は「信念」として聞いたのではないかと思う。「信仰を持て」と言われてもピンとこない人がほとんどだろうと思った。質疑応答の時、一人の人が「今の日本ではFaithを持つことは難しい」とコメントしていたが、その人は明らかに「信念」としてとらえていた。
 信仰を持てば信念を持つことは難しいことではないが、信仰なしに信念を持つことは非常に難しいであろう。氏は信仰に基づいた信念について言いたかったはずだが、それが届いた人は少ないと思われ残念に思った。質問ではほとんどの人がノーベル賞のことばかり聞いていた。

 キネマ旬報読者ベスト30が発表され、私の日本映画ベストの『出口のない海』と外国映画ベストの『戦場のアリア』はどちらもベスト30に入らなかった。ノーベル氏の講演を聞き、私の映画の評価基準はその映画にFaithが感じられるかどうかであるということを再認識した。信仰が感じられれば直ちに高評価を与えるが、そうでなくても信念が感じられれば高く評価していたのだと気付いた。キネ旬ベスト2は読者も批評家も共に『フラガール』が1位、『ゆれる』が2位だったが、『フラガール』には信念が感じられたので同意するが、信念がなくゆれていた『ゆれる』の高評価には同意できない。
 先々週の土曜日は平塚で『千の風になって』を、先週の土曜日は新宿で『魂萌え!』を見た。『千の風になって』には信仰も信念もあまり感じられなかったので私には今ひとつだった。水谷妃里さんは良かったが。『魂萌え!』はヒロインの信念が感じられてとても良かった。三村恭代さんも良かった。